不動産鑑定士さんの鑑定評価は絶対ですか?
普通、相続というと一生で4,5回経験すれば多いほうだろう。両親の両親が全員存命でもそのすべてで自分が相続人になることは、むしろレアケースと言えるだろう。
なので、相続人自体が相続のルールをよくご存じない。よくご存じないから揉める。今回もそんな話。
もう20年近く前の話、相続人の1人がどうしても、私が財産評価基本通達に基づいて計算した評価額で、遺産分割協議をするのが嫌だということがあった。
というのは、私は別の相続人の顧問税理士事務所の所員だったからだ。
理由は、分からなくもないので、評価額をどうするかを相続人さんたちと検討した。前出の相続人さんが、自分の知り合いの司法書士の知り合いの不動産鑑定士さんの鑑定評価なら信用できるということだったので、ほかの相続人さんも仕方なく、その不動産鑑定士さんに鑑定評価を依頼することになった。
するとその不動産鑑定士さんから、事務所に電話があり、「先生、鑑定評価ですが低めに計算しましょうか?それとも高めにしましょうか?」と尋ねられた。私は不動産鑑定士さんに依頼した理由は上記のようなことなので「普通に鑑定評価お願いします。」と答えた。私が「低目とか高め」とかいうとそれがまた揉めるもとになるからだ。
それと私もびっくりしたのは、「低め」とか「高め」とかできるのだということだ。何か、鑑定評価というと、鑑定士さんの信念のようなものがあるように思うがそうではなさそうだ。
後に別の鑑定士さんと話をした際に、固定資産税評価額より高ければ鑑定評価はできるという趣旨のことを聞いた。
また、大阪府と大阪市が南港にあるビルの鑑定評価を、鑑定士さんに依頼した際にも、2つ鑑定評価額の差に驚いた。
鑑定評価額の報酬は、土地が何筆かあったので、数十万円だったように記憶している。
私は、やはり入れ札が合理的かつ公平であるように思う。