私立学校法上の理事の職務
私立学校法(以下私学法という。)上、理事の職務について次のような規定がある。
私学法第36条3項、第37条2項、第40条の2、第40条の5、第43条、第44条の2④項、第50条1項1号。
私学法第36条3項
「理事会は、理事長が招集する。理事(理事長を除く。)が、寄附行為の定めるところ※1により、理事会の招集を請求したときは、理事長は、理事会を招集しなければ ならない。」
※1理事による理事会召集の請求方法は寄付行為の記載事項である。
私学法第37条2項
「理事(理事長を除く。)は、寄附行為の定めるところ※1により、学校法人を代表し、理事長を補佐して学校法人の業務を掌理し、理事長に事故があるときはその職務を代理し、理事長が欠けたときはその職務を行う。」
※1理事の代表権、理事長の補佐、学校法人業務の掌理、理事長に事故ある場合の職務代理、
理事長がかけた場合の職務については寄付行為記載事項である。
私学法第40条の2
「理事は、法令及び寄附行為を遵守し、学校法人のため忠実にその職務を行わなければならない。」
私学法第40条の5で準用する一般社団財団法人法第84条1項
「理事は、次に掲げる場合には、理事会において、当該取引につき重要な事実を開示し、その 承認を受けなければならない。
A.理事が自己又は第三者のために学校法人の事業の部類に属する取引をしようとするとき。
B.理事が自己又は第三者のために学校法人と取引をしようとするとき。
C.学校法人が理事の債務を保証することその他理事以外の者との間において学校法人と当該理事 との利益が相反する取引をしようとするとき。」
私学法第40条の5で準用する一般社団財団法人法第85条
「理事は、学校法人に著しい損害を及ぼすおそれのある事実があることを発見したときは、直 ちに、当該事実を監事に報告しなければならない。」
私学法第40条の5で準用する一般社団財団法人法第92条
「学校法人においては、上記A.~C.の取引をした理事は、当該取引後、遅滞なく、当該取引 についての重要な事実を理事会に報告しなければならない。」
私学法第43条
「評議員会は、学校法人の業務若しくは財産の状況又は役員※1の業務執行の状況について、役員に対して意見を述べ、若しくはその諮問に答え、又は役員から報 告を徴することができる。」
※1役員とは理事及び監事のことをいう。
私学法第44条の2④項で準用する一般社団財団法人法第113条2項
「役員等※1の学校法人に対する損害賠償責任の一部免除をする場合の評議員会において、理事は次に掲げる事項を開示しなければならない。
- 責任の原因となった事実及び賠償の責任を負う額
- 免除することができる額の限度及びその算定の根拠
- 責任を免除すべき理由及び免除額」
※1役員等とは理事、監事、会計監査人をいう。
私学法第44条の2④項で準用する一般社団財団法人法第113条3項
「学校法人においては、理事は、役員等の学校法人に対する損害賠償責任の免除(理事の責任の免除に限る。)に関する議案を評議員会に提出するには、監事(監事が2人以上ある場合にあっては、各監事)の同意を得なければならない。」
私学法第44条の2④項で準用する一般社団財団法人法第114条2項
「寄附行為を変更して役員等の学校法人に対する損害賠償責任の一部免除に関する寄附行為の定め(理事の責任を免除す ることができる旨の定めに限る。)を設ける議案を評議員会に提出する場合及びその寄附行為の定めに基づく責任の免除(理事の責任の免除に限る。)に関する議案を理事会に提出する場合には、監事((監事が2人以上ある場合にあっては、各監 事)の同意を得なければならない。」
私学法第44条の2④項で準用する一般社団財団法人法第114条3項
「役員の学校法人に対する損害賠償責任の免除に関する寄附行為の定めに基づいて役員の責任を免除する旨の理事会の決議を行った ときは、理事は、遅滞なく、次に掲げる事項を開示し、責任を免除することに異議がある場合 には一定の期間内に当該異議を述べるべき旨を評議員会に通知しなければならない。ただし、当該期間 は、1箇月を下ることができない。
- 責任の原因となった事実及び賠償の責任を負う額
- 免除することができる額の限度及びその算定の根拠
- 責任を免除すべき理由及び免除額」
私学法第44条の2④項で準用する一般社団財団法人法第115条3項
「寄附行為を変更して役員等の学校法人に対する損害賠償責任の一部免除に関する寄附行為の定め(同項に規定する理事と契約を締結することができる旨の定めに限る。)を設ける議案を評議員会に提出する場合には、監事((監事が2人以上ある場合にあっては、各監事)の同意を得なければならない。」
私学法第50条1項1号
「学校法人は、次の事由によつて解散する。
1.理事の 3 分の 2 以上の同意及び寄附行為で更に評議員会の議決を要するものと定められている
場合には、その議決」