理事会の職務について私立学校法(以下私学法という。)は以下のような規定を置いている。
私立学校法第36条2項、私学法第40条の5、私学法第44条の2④項
私学法第36条2項
「理事会は、学校法人の業務を決し※1、理事の職務の執行を監督する。」
※1
学校法人の業務を決するとは、理事会が学校法人の最高意思決定機関であることを表す。
(学校法人制度等の概要及び私立学校法の改正について 文部科学省高等教育局私学部私学行
政課 令和元年8月30日)
学校法人の業務を決するとは内部事務と外部的な事務を決定することである。具体的には、理
事会は学校法人の基本的な運営方針や事業計画について決定するとともに、現在評議員会に諮問
しなければならないとされている1.予算,借入金及び重要な資産の処分,2. 決算,3.寄付行為の
変更,4.合併・解散,5.収益事業に関する重要事項,6.その他学校法人の業務に関する重要事項
で寄付行為で定めるものについては理事会において決定することが必要である。6.について寄付
行為で何を定めるかは学校法人の判断によるが,一般的には学則の制定,就業規則の決定,資産
の運用,工事の契約,重要な設備の購入等が考えられる。
(文部科学省中央教育審議会大学分科会参考資料2「学校法人制度の改善方策について」)の
概要)
といしているので、学校法人の業務を決するとは上記の意味に解釈する。
私学法第40条の5で準用する一般社団財団法人法第84条
「理事は、次に掲げる場合には、理事会において、当該取引につき重要な事実を開示し、その 承
認を受けなければならない。
⑴ 理事が自己又は第三者のために学校法人の事業の部類に属する取引をしようとするとき。
⑵ 理事が自己又は第三者のために学校法人と取引をしようとするとき。
⑶ 学校法人が理事の債務を保証することその他理事以外の者との間において学校法人と当該理
事との利益が相反する取引をしようとするとき。」
私学法第44条の2④項において準用する一般社団財団法人法第114条1項
「学校法人に対する役員等※1損害賠償責任の免除に評議員会の同意が必要であるとする規定に
かかわらず学校法人(理事が2人以上ある場合に限る。)は、学校法人に対する役員等の損害賠
償責任について、役員等が職務を行うにつき善意でかつ重大な過失がない場合 において、責任の
原因となった事実の内容、当該役員の職務の執行の状況その他の事情を勘案して特に必要と認め
るときは、責任の一部免除の規定により免除することができる額を限度として理事会の決議 によ
って免除することができる旨を寄附行為で定めることができる。」
※1役員等とは理事、監事、会計監査人のことである。
私学法第44条の2④項において準用する一般社団財団法人法第115条1項
「学校法人に対する役員等※1損害賠償責任の免除に評議員会の同意が必要であるとする規定に
かかわらず、学校法人は、理事(業務執行理事(理事長、理事長以外の 理事であって寄附行為の
定めるところにより理事長を補佐して学校法人の業務を掌理する理事とし て選定されたもの及び
当該学校法人の業務を執行したその他の理事をいう。)又は当該学校法人の職員でないものに限
る。)又は監事又は会計監査人(以下この条において「非業務執行理事等」という。)の学校法
人に対する役員等の損害賠償責任 について、当該非業務執行理事等が職務を行うにつき善意でか
つ重大な過失がないときは、寄附行為 で定めた額の範囲内であらかじめ学校法人が定めた額と最
低責任限度額とのいずれか高い額を限度 とする旨の契約を非業務執行理事等と締結することがで
きる旨を寄附行為で定めることができる。」