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寄付行為記載事項

私立学校法上の寄付行為記載事項

 寄付行為記載事項について、私立学校法(以下私学法という。)では以下のような条文がある。

 

 私学法第30条、私学法第38条1項2号、3号、2項、私学法第44条の2④項、私学法第50条1項1号、2号、私学法第50条の4①項、私学法51条1項。

 

 私学法第30条

 「学校法人を設立しようとする者は、その設立を目的とする寄附行為をもつて少なくとも次に掲げる事項を定め、文部科学省令で定める手続に従い、当該寄附行為について所轄庁の認可を申請しなければならない。

 ⑴ 目的

 ⑵ 名称

 ⑶ その設置する私立学校の名称及び当該私立学校に課程、学部、大学院、大学院の研究科、学科又は部を置く場合には、その名称又は種類(私立高等学校(私立 中等教育学校の後期課程を含む。)に広域の通信制の課程を置く場合には、その旨を含む。)

 ⑷ 事務所の所在地

 ⑸ 役員の定数、任期、選任及び解任の方法その他役員に関する規定※1

  ※1理事、理事長の選任方法は寄付行為の記載事項である。

 ⑹ 理事会に関する規定

 ⑺ 評議員会及び評議員に関する規定

 ⑻ 資産及び会計に関する規定

 ⑼ 収益を目的とする事業を行う場合には、その事業の種類その他その事業に関する規定

 ⑽ 解散に関する規定

 ⑾ 寄附行為の変更に関する規定

 ⑿ 公告の方法

 2 学校法人の設立当初の役員は、寄附行為をもつて定めなければならない。

 3 第1項第10号に掲げる事項中に残余財産の帰属すべき者に関する規定を設ける場合には、その者は、学校法人その他教育の事業を行う者のうちから選定される ようにしなければならない。」

 

 私学法第38条1項2号

 「理事となる者は、次の各号に掲げる者とする。

 (2)当該学校法人の評議員のうちから、寄附行為の定めるところにより選任された者(寄附行為をもつて定められた者を含む。次号において同じ。)」

 評議員のうちから理事になる者を何人とするかは寄付行為の記載事項である。

 

 私学法38条1項3号

 「理事となる者は、次の各号に掲げる者とする。

 (3)前2号に規定する者のほか、寄附行為の定めるところにより選任された者。」

 理事の選任方法は寄付行為の記載事項である。

 

 私学法第38条2項

 「学校法人が私立学校を2以上設置する場合には、前項第1号※1の規定にかかわらず、寄附行為の定めるところにより、校長のうち、1人又は数人を理事とすること ができる。」

 ※1学校法人の設置する私立学校の校長を理事とする定めのことである。したがって、校長が複数人いる場合に何人を理事とするかは寄付行為記載事項である。

 

 私学法第第44条の2④項において準用する一般社団財団法人法114条1項

 学校法人に対する役員等の損害賠償責任は評議員会の決議で免除することができるとされているが(私学法第44条において準用する一般社団財団法人法113条1項)、この規定にかかわらず、理事会決議によって免責することができる旨寄付行為に定めることができる※1。

 ※1できる規定である。

 なお、寄付行為の変更は評議員会への事前諮問事項ある。(私学法42条1項5号。)

 

 私学法第44条の2④項において準用する一般社団財団法人法115条1項

 学校法人に対する役員等の損害賠償責任は評議員会の決議で免責することができるとする規定(私学法第44条の2④項において準用する一般社団財団法人法113条1項)にかかわらず、いわゆる学校法人が責任限定契約をいわゆる非業務執行理事等と結ぶことを可能とする旨寄付行為に定めることができる※1。

 ※1できる規定である。

 なお、寄付行為の変更は評議員会への事前諮問事項である。(私学法42条1項5号。)

 

 私学法第50条1項1号、2号

  「学校法人は、次の事由によつて解散する。

 ⑴ 理事の3分の2以上の同意及び寄附行為で更に評議員会の議決を要するものと定められている場合には、その議決

 ⑵ 寄附行為に定めた解散事由の発生」

 解散に理事の3分の2以上の同意及び評議員会の議決を要するか否かは寄付行為の記載事項である。

 その他の解散事由は寄付行為の記載事項である。

 

 私学法50条の4①項

 「学校法人が解散したときは、破産手続開始の決定及び解散命令による解散の場合を除き、理事がその清算人となる。ただし、 寄附行為に別段の定めがあるときは、この限りでない。」

 解散した場合に理事が清算になるか否かは寄付行為の記載事項である。

 

 私学法51条1項

 「解散した学校法人の残余財産は、合併及び破産手続開始の決定による解散の場合を除くほか、所轄庁に対する清算結了の届出の時において、寄附行為の定 めるところにより、その帰属すべき者に帰属する。」

 解散による残余財産の帰属は寄付行為の記載事項である。