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役員報酬はいつまでに決めないといけませんか?

定期同額給与

 営利法人の役員の報酬については原則、毎月定額を毎月同じ時期に支給しないと損金算入を認めないとする規定(法人税法第34条第1項第1号)があり、毎年決算が終わると申告書作成作業とともに、来期(進行年度)の業績を予測し、来期の役員報酬を株主総会で決定しないといけない。

 

 というのは会社法で役員報酬の決議機関は株主総会とされている(会社法361条)こと、又事業年度の途中で役員報酬を変更すことは原則認められていないため、定時株主総会で決定することが一般的であるためだ。

 

 だが、定時株主総会をバックデートして開いたことにした場合を考えてみると…。

 

 例えば5月決算で源泉所得税について納期の特例を受けている一人法人の場合、定時株主総会は決算終了後3か月以内に開くとする定款の規定が一般的なため8月末までに総会を開けばよいことになる。7月末に総会を開いて役員報酬の額を決定した。しかし、11月ころになって役員報酬をあげたい事情※1が発生した。人情としては役員報酬をあげたい。このとき、バックデートして7月の総会で報酬をあげたことにしてしまった場合、明らかに法律違反だが、税務署はどうして、この事実を調査するのだろうか?

 

 ※1例えば

   進行年度の業績が無茶苦茶よくなることに気づいた。

   代表取締役会長が急死し、死亡退職金をできるだけ沢山支給したい。

    などの事情が考えられる。