最高裁判例も考える。
学校法人の入学金について考える。まず、取引の概要を説明し、従来の会計処理、文部科学省の通知、最高裁判例について触れ、最後にあるべき会計処理を考える。
取引の概要
学校法人の入学の手続きはまず、入学願書の提出があり、入学試験があり、合格通知があり、入学金の納入があり、次の4月に入学という段取りになる。
従来の会計処理
私たちは、一般に入学金を入学の条件として納付される学納金として考え、新年度の帰属収入と考え、入学金の納付時点では、前受金として経理処理してきた。したがって、4月1日に入学金勘定に振替える仕訳を切る。今もそのように取り扱っている。昭和の40年代から令和3年に至るまでずっとそのように経理処理してきた。
文部科学省部長通知
平成3年6月6日文部省高等教育局私学部長通知 文教行第195号では入学金の消費税法上の取扱について「入学の意思が確認されたとき=入学金の納付したとき」が資産の譲渡等が行われたときであるとして、新年度を待たず、従来の会計処理でいうと前受金処理している段階で、非課税売上を認識するよう通知している。
最高裁判決
事件番号平成16(受)2117事件名 学納金返還請求事件では、入学金について学生が当該大学に入学し得る地位を取得するための対価としての性質を有するものであり、当該大学が合格した者を学生として受け入れるための事務手続等に要する費用にも充てられることが予定されているものというべきである。とし、入学辞退者に対して、入学金のうち不当に高額な部分を除いて、返還を認めていない。つまり、入学試験の合格通知に対する入学金の納付は入学し得る地位の取得の対価としての意味を持つと最高裁は解釈したことになる。
結論
そうであるならば、やはり、従来の会計処理を改め、入学金の入金時に帰属収入であると認識し、入金日の属する事業年度で入学金勘定で処理すべきである。