· 

10年分の通帳記録を税理士が確認するメリットとコスト

相続税申告代理報酬が高くなる税理士の見分け方

 税理士の中には、相続税の申告をする際、10年分の通帳記録を確認することにしていて、そのやり方が必須であるかのように説明する方いる。

 

 私はそうは考えていない。理由はそんなやり方では、税理士の報酬がやたらと高くなることである。税理士はよく儲かるが、クライアントの立場からは本当にそこまでやる意味あるかということになる。

 

 相続税の税務調査の際、税務署は10年分の預金通帳を確認して現場に臨むことがあることは、私も承知している。しかも、被相続人だけではなく相続人あるいは相続人の子、さらにその子の預金通帳まで。

 

 多分、10年間の通帳記録を確認したいという税理士は、税務署と同じだけの情報を手にして、その疑問点を洗い出し、申告書を作成するまでにその疑問点を解決し、クリアにした状態で申告することが、クライアントのためになるという信念からされていることだろうと思う。

 

 しかし、税理士には悲しいかな調査権がないので、あくまでも通帳の提出は相続人あるいは相続人の子あるいはその子の任意である。それを無理やり拝見することはできない。そこが、税理士業務の難しいところでもあり、逆に利点でもあると私は思う。

 

 相続人の周辺の方全員の過去10年分の預金通帳を拝見することは時間的に相当の時間を要するだろうし、見たつもりでも見れていないということも考えられる。

 

 であるならば、クライアントが見せたいという資料だけを拝見させていただいて、その中で疑問点があれば追加で資料を見せていただき、もし見せていただけないものがあった場合には、ほかの手段で解決できるのか、あるいは見ていないことの責任を税理士がとれないことの説明をした上で、お互い納得がいけば、相続税の申告書の作成をしてもよいものと考える。

 

 もちろん納税者が全部見ていただきたい、できる限り調査で指摘されるのは避けたいとおっしゃるならできる限りの資料を拝見することはやぶさかではないが…。

 

 全部見たつもりでも見ていないものが出てくる可能性は否定できないし、一方納税者の提出していただいた資料が完璧なもので、追加で要求する資料がないという場合も考えられる。最初から10年分相続人と周辺者の通帳全部と決めつけるのはいかがなものだろうか?話を聞けばある程度のことは分かるように思うが…。