経営事項審査X5
x5(自己資本固定比率)={(自己資本)/(固定資産)}×100
ただし、△76.5<=x5<=350
x5も大きいほど評点は高くなる。
分子の自己資本は大雑把に分けて出資金と創業以来の利益からなる。出資金を出資することはたやすくないし、地方税の均等割りの問題もある。
また、利益を増やせば一般的には税金も増える。
分母の固定資産を小さく表示する方法としては、以下のやり方が考えられる。
- 会社の経理規定を見直して、資産計上基準の金額を大きくする。
- 固定資産の管理をより正確にし、すでに廃棄されているようなものがあれば、こまめに除却処理を行う。
- 固定資産について、税法上の特別控除や特別償却の適用を受けられる場合、まず特別控除、次に利益処分方式による準備金積立方式による特別償却、最後に※経費処理による特別償却を検討し、できる限り経費処理は採用しない。
※ここで経費処理とは損益計算書上費用として表示することをいうことにする。
1.について、固定資産計上基準を会社の中でみなおして、例えば資産計上基準を20万円超から100万円超とかにすれば、分母が減って、x5は大きくなるが、そういうことが可能だろうか?
会社計算規則上は、資産計上基準について特に金額的基準を設けていない。資産計上基準に金額的基準を設けているのは税法である。そこで、いったん税法を横においておけば、自社で金額的基準を設けることによって会計的には、資産計上せず、消耗品費勘定等で処理して、申告書上、減価償却費を否認すれば、合法的に可能は可能だ。しかし、この方法では、利益が減少するので他の指標への影響も考慮しないといけない。
一般的には有利に働かない場合が多いだろう。また、会計監査人が入っている会社では監査人に相談が必要だ。
結論的にはあまり有利になる場合は少ないと思われる。
2.について、固定資産の管理をよりしっかり行い、すでに廃棄されているようなものがあれば、除却損の計上をこまめにすることもx5には有利に働くが、利益は小さくなるため、その面では不利になる。しかし、会計的にも、税務上も、ないものを帳面に残しておくことは好ましくないので、しなければならないことである。
3.については、特別控除を採用できれば利益を減らさず、税金だけを減らせられるというメリットがある。また、将来的にも償却費が減ることもないので、特別控除が最も有利と言える。しかし、当期に利益が出ていない会社では、特別控除額は0になるし、翌年度も赤字が予想されるような場合には特別控除を採用することは難しい。そこで、特別償却を採用するとしても、利益処分で準備金を積み立てたほうが、経費処理によって特別償却費を計上するよりも、税に対する影響は同じなので当期利益が減らない分だけ、利益処分方式のほうが優れていると言える。
結論
x5については、指標の点数をあげる有効な方法を見出すことは困難だが、3.については検討の余地はある。また、現状分析をしてみれば、指標の点数が上限に達している場合もあるので、現状分析は必須である。