会社法における利益相反取引にならないケース
相談者:「私、㈱ありがとう商店で代表取締役をしております。鈴木一郎と言います。㈱ありがとう商店はお弁当の製造販売をしていますが、業績が好調で税金対策と事業拡大のため、㈱ありがとう販売を設立し、販売を㈱ありがとう販売でしようかと思っています。㈱ありがとう販売の代表取締役を私がする場合当然利益相反取引になりますよね?」
私:「はい。利益相反取引になる可能性があります。(会社法356条1項2号)。その場合、総会の決議が必要になります。(会社法356条1項)。」
相談者:「総会と言っても㈱ありがとう商店も㈱ありがとう販売も私一人ですが、大丈夫ですか?」
私:「2社ともいわゆる一人会社ですか?一人会社の場合最高裁の判例で利益相反取引にならないという裁判例があります。利益相反取引は取締役が守るべき会社の利益を犠牲にして自己または他の者の利益を図ることを防止するための制度です。しかるに㈱ありがとう商店も㈱ありがとう販売も鈴木一郎さんが一人株主でかつ鈴木一郎さんが両社の唯一の取締役である場合実質的に鈴木一郎さんの利益が鈴木一郎さんに移転しただけと考えられますので、利益相反取引にはならないのではないでしょうか?」
相談者:「契約書も商店も販売も代表が私ですので、私が署名押印するということでよいでしょうか?」
私:「有効に契約は成立するものと考えます。」
相談者:「税務上、何か問題はあるでしょうか?」
私:「完全に同族会社間の取引ですので、いろいろと問題はありますが、全部を説明するのは不可能なので、時間をかけて説明させていただきます。本日はありがとうございました。」