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領収書の宛名は法的に規制はありますか?

領収書の宛名はどう書くのが正しいか?

 領収書の宛名はどう書くべきか?簡単なことだが意外と奥が深い。

 

 基本的には支払者の名称を書く。

 

 しかし、例えばビジネスホテルで宿泊すると「宛名は新谷様でよろしいでしょうか?」と尋ねられる。私はお客様に請求する場合でも、お客様の名前を説明するのが邪魔くさいので「はい。」と答えてしまう。

 

 しかし私が清算していただくお客様の名前を指定することも可能だ。

 

 つまり、直接的な支払者を指定しても良いし、最終的な負担者を名宛人としても良いという具合だ。

 

 一方、診療所で子供の医療費を親が支払った場合、診療所は子供の名前で領収書を発行するように思う。つまり、直接的な支払者でなく患者の名前を名宛人にするケースがあるということだ。

 

 今回の質問の要旨は、訪問看護事業所において、患者と報酬の支払者が違う場合、領収書の宛名をいかに書くのが法的に正しいかという問題だ。

 

 私が知る限りこれを直接的に規制する法律はないように思うが、3つ間接的に規制する法律を見つけたので紹介する。もっとあるかもしれないが…。

 

 1つは消費税法30条9項、請求書等の意義についてのところだが、名宛人は領収書の交付を受ける者の名称を書くことになっていると解釈できる。

 

 2つ目は所得税法73条医療費控除についてだが、同一生計の親族の医療費を支払った場合には、支払った者に医療費控除を認めるというもの。厳密に解釈すると、診療所は患者宛ではなく支払者宛に領収書を発行しないといけないことになるが、実務では同一生計親族宛の領収書で医療費控除を認めている。

 

 3つ目は高額医療費制度だ。これも世帯合算をする場合には、領収書の名宛人と払い戻しを受ける者は必ずしも一致しないケースがあると考えられる。

 

 まとめると領収書の名宛人は基本的には直接の支払者だが、直接の支払者と最終負担者が違う場合最終負担者を名宛人とすることも認められる。また、同一生計親族などの場合、その便益を受けた者を名宛人とすることもある。といううことか?

 

 今回の問題の答えは、原則は支払者だが、患者さんでも良いだろうということにした。