訂正申告の不正な使い方
修正申告という言葉は税法に規定される用語だ。修正申告とは一旦確定申告書を提出したが、申告書の提出期限後、誤って所得や税額を過少に申告してしまったことに気づいた場合に、誤りを修正するために提出する申告のことである。多くの場合は、税務署に指摘され提出する。稀に自分で気づいて提出することもある。
一方、訂正申告という言葉は、税法に規定がないのではないかと思われるが、実務では使われる。申告書を一旦、提出したが、申告期限内に間違いに気づいてしまった。この場合に、誤りを正すために提出する申告書を訂正申告と呼んでいる。
なので、修正申告と訂正申告の間には以下の2つの違いがある。
- 期限後か、期限内か。
- 所得や税額が増える申告か、所得や税額が増減するどちらの場合にも提出する申告か。
ここまでは、そうなのか?ということだが、問題は訂正申告の悪用だ。一般に、社長は税務署には所得を少なく申告したい、銀行には利益を多く報告したい、というのが人情だ。そのこと自体は責められるべきことではないと思われるが、実行に移してしまうと犯罪だ。
つまり、税務署にまず利益をたっぷり出した決算書から作った申告書を提出する。その後、誤りがあったとして、所得を少なくした申告書を提出する。期限内なので何回申告書を提出しても合法だ。しかし、手許に残った利益たっぷりの決算書をわざと銀行に提出すると詐害行為だ。
昔、紙で申告書を提出していた時代は、訂正申告を提出する場合は、申告書に赤字で訂正申告と記載し、間違いのあった申告書は税務署に引き渡していたような記憶があるが、今は電子申告なので一回目に提出した申告書も訂正した申告書も両方手元に残ってしまう。
くれぐれも、銀行に見せる決算報告書を間違わないように、ご注意をしてください。期限の利益を喪失する可能性がありますよ~。