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実現主義と収益認識に関する会計基準について

実現主義と収益認識に関する基準の異同

 私たちが学生の頃から収益の認識の基準は実現主義だった。学生のとき三商大で弁論大会があったが、その時のテーマが「実現原則について」だったのを思い出す。

 

 問題意識

 実現主義の適用が曖昧であることのようだ。

 

 「収益認識に関する基準」

 「収益認識に関する基準」では次の流れで収益を認識するそうだ。

  1. 契約の識別
  2. 履行義務の特定
  3. 取引価格の特定
  4. 履行義務に取引価格を配分
  5. 履行義務の充足による収益の認識

 1.契約の識別

  契約の識別と言って収益が発生する典型的な契約形態は売買契約か請負契約か賃貸借契約だ。

  これらは双務契約だ。

  旧来の実現原則ではここまで遡って取引を考えることはなかったと言える。

  新基準では、この時点で契約で発生する権利(資産)と義務(負債)を認識する。

 

 2.履行義務の識別

  履行義務は、例えば賃貸借契約なら、ある期間、物を貸すこと。

 

 3.取引価格の特定

  賃貸借契約なら、ある期間の賃料のこと。

 

 4.履行義務に取引価格を配分

  これは、履行義務の中に異なる義務が混在することを前提としているようだ。

  典型的には売買契約と保証契約が一体となった取引。

 

 5.履行義務の充足による収益の認識

  賃貸借契約なら、ある期間、物を貸し終えたことを意味するのかあるいは、時の経過によって履行義務は徐々に充足されていると考えるのか?

 

 「収益認識の関する基準」では、履行義務の充足という点に着目して収益を認識するようだ。「実現原則」では分配可能利益の算定を根拠に現金あるいは現金等価物の取得に着目して収益を認識していた。

 

 賃貸借契約を例に考えてみたが、「実現原則」も「収益認識の基準」も結果的には、大差ないように見えるが、どうだろう?